カフカ『巣穴』52
フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第52回です。
頭木弘樹
2026.09.05
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●翻訳のつづきです
こうしてわたしは、どういうふうに巣穴をつくればいいかという考えに没頭し、またしても、完全無欠な巣穴という夢を見始めるのだ。そのことがわたしの気持ちをいくらか落ち着かせる。目を閉じて、恍惚【こうこつ】として、頭の中にはっきりと浮かんでくる、あるいはまだぼんやりとしか思い描けない巣穴の工夫を、あれこれ眺【なが】める。気づかれずにさっと出入りできるようにするための工夫を。