カフカ『巣穴』42
フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第42回です。
頭木弘樹
2026.07.22
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●翻訳のつづきです
わたしの姿に欲望をかきたてられて追ってくるような、おそろしい敵だけが危険なのではない。とるにたりない小さな生き物であっても、好奇心からわたしのあとについてくるようなことがあれば、そいつが罪のないやつであろうが嫌なやつであろうが、知らず知らずのうちに、この世界の敵たちに道案内をしてしまう可能性も充分にあるのだ。いや、それ以前に、もしかしたら——他のやつらと同じくらい困るし、多くの点で最悪なのだが——もしかしたら、わたしと同じようなやつが現れるかもしれない。建築物にくわしい愛好家で、森の隠者で、平和を願っているやつ。だが、自分では建築しようとせず、それでも住みたがる、卑劣な悪党。