カフカ『巣穴』27

フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第27回です。
頭木弘樹 2026.06.30
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●翻訳のつづきです

 だからこそ、今のこの時間を心ゆくまで味わい、心配せずに過ごしてもいいのだ。そう、いいはずなのだ。しかし、できないのだ。巣穴のことがどうにも頭から離れない。急いで出入口から走り去ったのに、またすぐに戻ってきてしまった。いい隠れ場所を探して、そこからわが家の出入口を——今度は外から——昼も夜もじっと見張った。

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