カフカ『巣穴』21

フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第21回です。
頭木弘樹 2026.06.22
サポートメンバー限定

●翻訳のつづきです

 もちろん、出口というのは、そもそもそういう病的な感情を呼び起こすものだ。そこから出れば、もう家に守ってもらえなくなるのだから。しかし、やはり出入口の迷路が、わたしをひどく苦しめる。ときおり、わたしは夢の中で、誰にも気づかれず、ものすごい力で素早く、一夜のうちに出入口を完全につくり直し、これでもう難攻不落になったと感じる。どんな眠りよりも、そういう夢を見るときの眠りが最も甘美だ。目が覚めたときにも、喜びと救済の涙がまだ髭【ひげ】で光っている。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、239文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』37
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』36
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』35
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』34
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』33
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』32
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』31
サポートメンバー限定
カフカ『巣穴』30