カフカ『巣穴』08
フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第8回です。
頭木弘樹
2026.06.03
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●文章の長さ
カフカの文章というのは、一文が長い。
もちろん、短いときもあるのだが、基本的には長い。
だとしたら、訳文でも、一文を長くするべきだ。
それはそのとおりなのだが、これがじつは難しい。
もちろん、やってやれないことはない。しかし、日本語として読みやすい文章にはならない。
もとのカフカの文章が読みにくいのなら、それもありかもしれないが、そうではなく、ただ訳文が読みにくくなるだけなのだから、いただけない。
だから、これまでの邦訳でもすべて、長い一文を短く区切って訳してある。
そうすることのマイナスはほとんどないと思う(ときにはマイナスになることもあり、そのことについては先でご紹介する予定)。
ただ、カフカの、ときには1ページ近くに及ぶ長い文を、そのまま日本語の文章でも長い一文に訳せたら、面白いだろうとは思う。
それができるとしたら、谷崎潤一郎か、筒井康隆くらいだろうなあと思う。この2人は長い文章が見事なので。
私はとてもそんな芸当はできないので、やはり短く切って訳している(ただ、必要な箇所では挑戦してみるつもり)。
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