カフカ『巣穴』09
フランツ・カフカの短編小説『巣穴』を翻訳していくtheLetterの第9回です。
頭木弘樹
2026.06.04
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●改行について
カフカは一文が長いという話を前回したが、
カフカは一段落の分量も多い。
延々と改行なしに書いてあることが多い。
これは一気に書くという、カフカの書き方によるところも大きいだろう。
とにかく、だーっと書き続けているのだ。
訳すとき、改行位置というのは、基本的に原文と同じにする。
どこで改行するかにも、作者の意図があるからだ。
これは長い一文を訳すのとちがって、誰でも同じにできる。
同じ位置で改行すればいいだけだ。
しかし、カフカのように改行が少ないと、とても読みにくい。
カフカの場合は、出版するときには、「可能なかぎり、最大の活字でお願いします」と出版社に頼んでいる。
複製本を持っているが、絵本のように文字が大きい。
余白もたっぷりとってある。これも「まわりにゆったりした空間が必要です」というカフカの要望だ。
これだと、改行がなくても読みやすい。
しかし、翻訳をそんな大きな字で出版することは難しい。
では、どうするか?
ここで翻訳者によって判断が分かれる。
この話のつづきはまた次回。

カフカが最初に出した『観察(Betrachtung)』という本の複製。活字が大きく、余白がたっぷりとってある。
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